
小説は「考えさせられる」ことが多いから好きだ。
特に、明治時代あたりの「文豪」と呼ばれる方々の作品はどれも風変りと言うか、「現在」に比べてだけどかなり毛並みが違う。
「こうきて、こうきて、こうだ!」と言うセオリーもなく、あとは「読み手にお任せする」ということが多い。だから、考えさせられる。
明治時代は、そーゆー「それは果たして正解なん?」ということを色濃く問う時代だったんだなあと感じます。
やはり、「人間の心」を題材にした作品がたくさんあるので、文豪それぞれの視点で「こころ」を捉えてるのが面白い。
夏目漱石さんの「こころ」は恋愛エピソードが背景にあるのですが、これもなかなか考えさせられますね。
「自分の心に正直に生きること」が「自分の人生の幸せに繋がる」と何かの本で読んで「その通りだな」とその言葉を信じて生きてきましたが、「こころ」を読んでからは「どうもこれはちょっと違うかもしれん」という気になってきました。
「自分の心に正直に生きること」で誰かを犠牲にしたとしても、自分は幸せに生きられるのだろうか?
結局、人間ですし生きてる限りは誰かに迷惑をかけてるんでしょうけどね。
「他の人のことは知らない」という完全に冷血なスタンスを取れない限り、人生に幸せを望むなんて夢のまた夢なんだろうなあとしみじみ感じております。
「心が人を幸せにし、心が人を生きづらくする」という当たり前の事実を深く抉る作品です。