さくっと「小説・ノベルズ」

介護界のリアル。君は「死にたい人」を殺せるか? 『介護士K』【小説】

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これは必読。

 

介護士K

介護施設「アミカル蒲田」で入居者の転落死亡事故が発生した。高齢者虐待の疑いを持ち、調査を始めたジャーナリストの美和は、介護の実態に問題の根の深さを感じていた。やがて取材をした介護士・小柳恭平の関与を疑った美和は、再び施設を訪れる。恭平は「長生きで苦しんでいる人は早く死なせてあげた方がいい」という過激な思想を持っていた。そんななか、第二、第三の死亡事故が。家族の問題を抱え、虚言癖のある小柳による他殺ではないのか–疑念が膨らむ一方の美和だが、事態は意外な方向に展開してゆく。高齢者医療の実態に迫り、人間の黒い欲望にメスを入れる問題作!

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「生」と「死」の在り方を考えさせられる作品です。

「介護」のことは本当に国が早くなんとかしないといけない問題なんですよね。

 

低賃金で重労働、まったく言うことも聞かないし一人で何も出来ない赤ちゃんみたいな老人の相手を一日中するうえに、外部から「ずさんだ」などと文句を言われる。

そりゃ、ストレスが爆発して虐待も起こるわ。って話ですし、そもそもこんな世界なのに「介護士になりたい!」って人なんていないから自然と人手不足にもなりますよね。

 

まだ「育児」はいいんですよ。「子供が成長する」という未来があるから。

「介護」には、未来がないんですよね。

 

私の家にも80歳を超える祖母がいますが、認知症になっても介護しませんし、家族にもさせないですね。施設で面倒見てもらいます。

今の国の方針だと、それが私たちに出来る精いっぱいになってしまうんですよね。

どれだけ綺麗ごとを言っても、「介護」は「負担」でしかないのです。

 

体も頭も動かない、床ズレや病気による苦痛の連続で、しかも娯楽もない寝たきりの人生。誰の役にも立ってないどころか苦痛を味わいながら人に迷惑をかけ続けて生きて行かなければいけない。

そんな老人たちの「死にたい」という気持ち、ちょっと想像するだけでわかりますよ。そりゃ、死にたくなりますよねえ。「楽しい事があるどころか苦痛の中を死ぬまで生かされる」なんて見ようによってはただの拷問ですし。

 

本書にもありますが、家族の「私、おじいちゃんが死んだら悲しい」という気持ちは所詮、「自分の感情」ってだけなんですよ。

本人の願望を無視した、エゴの押し付けでしかないのです。老人の気持ち、考えたことありますか?

 

「もう生きていたくない」と叫ぶ老人たちと、国の方針に従って延命介護せざるをえない「医療界」のリアルを抉った1冊です。

「生」と「死」について考えさせられました。

 

 

 

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執筆者:

gxfh

読書ノート。ついつい夢中になってしまった作品を紹介しております。ミステリー・暗黒小説・ビジネス・経済・歴史・ライフハック・生態系の話が好きです。時々雑記。