
震えた。
革命前夜
バブル絶頂期の日本を離れ、東ドイツに渡った一人の日本人留学生。住民が互いに監視しあう灰色の町で彼が出会ったのは、暗さのなかから生まれる、焔のような音楽だった。
by Amazon
うおぉぉお…(; ・`д・´)ってなる1冊です。
いきなり語彙力のド底辺っぷりを発揮して申し訳ないですね。
あらすじや帯からもわかるとおり、ドイツに渡ったピアニストがなんやかんやある物語なのですが、これまたストーリーが良いですね。
自分の力を確信しながら異国に飛び立つも、世界に出ればバケモノ級の演奏者がいたりして。
その中でスランプに陥りながらも、どうにか足掻いて成長して行く姿は、やはり胸を打たれますね。
その内容もさることながら、私が個人的に感銘を受けたのが、この洗練された表現力。
まるで日本語がピアノの音に乗っているような錯覚を覚えるほど、優雅に物語をつづっていきます。
これがまたね、ページをめくる手を加速させてくれるんですよね。
僕は手を開き、空にむかって掲げてみた。
指の間から、初夏の陽光がきらきらと零れ落ちる。
ほんの少しだが、見えてきた気がする。
僕の音。
このDDRで、僕だけが生み出すことのできる、水の音が。
夢と、友情と、恋愛、困難に挫折。
青春の全てを楽しめるような作品でした。
ピアノの音に乗せた言葉の旋律で、ごゆるりとお楽しみ下さい。
おすすめです。ぜひ。