
これはたまらん。
ダ・フォース
麻薬や銃による犯罪を取り締まるマンハッタン・ノース特捜部、通称“ダ・フォース”。ニューヨーク市警3万8千人の中でも最もタフで最も優秀で最も悪辣な警官たちを率いるデニー・マローンは市民のヒーローであり、この街を統べる刑事の王だった。だが、ドミニカ人麻薬組織の手入れの際におこなったある行動をきっかけに、栄光を約束されたマローンの人生は、転落の道をたどりはじめる…。
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いや~、すごいです。まるでギャングスタムービーを観てるようでしたよ。
超絶に「ブラック」なクライムノベルです。
いわゆる「汚職警察もの」ですね。
「汚職警察もの」で、舞台はニューヨーク。
もうこの情報だけで察しがつきますが、なかなかの度肝を抜かれる腐敗っぷりでございます。 ←
その腐ったビッグアップルで繰り広げられる、麻薬の売買・人種差別・裏切り・買収・思惑・欲望・もみ消し殺人なんでもアリの警察小説ですね。
さくっと見どころをレビューします!
ボキャブラリー豊かなブラックジョーク
私はもうコレだけで読む価値あるんじゃないかと。
スラングや「例え話」などなど、知能の限りを駆使したブラックジョークが飛び交います。
よくこんな表現が次々と思いつくもんだなと。
もちろん、物語自体はコメディではなくシリアスなクライムものなんですが、それでも「クスッ」とせざるを得ないボキャブラリーの攻防は必見です。
私も海外の小説は好きで結構読みますが、ここまでブラックジョークの交戦が激しいのは他に見たことないですね。
アメリカ人の発想力とセンスにただただ脱帽するしかない、ユニークの塊に満たされた作品です。
何もかも上手くいっていた。…はずだった
ブラックギャングスタムービーと言えば、この要素。
本当にささいな「小さなミス」がじわじわと広がり、奈落の底へと進んでいくのです!
FBIに汚職の尻尾を掴まれて、仕方なく仲間をいろいろと裏切っていくのですが、ここがね~。
切ないまでに感情移入できちゃうところなんですよね。
もともとは家族や仲間を守るために動いてたのが、気が付けば家族や仲間そのものを裏切って行くことになるのです!
もとを辿れば、本当にささいな「1つの小さなミス」なんですけどね。
それだけで、すべてを失ってしまうのが、なんともいたたまれない。
もう途中から「どうなるんだこれ…( ´゚д゚`)」が止まりませんでしたね~。
アルパチーノの「スカーフェイス」さながらの「落ちて行く感」を思い出しながら読んでましたよ。
スリルとバイオレンスに塗れたラストスパート!
そしてラストは、ギリギリ崖っぷちまで追い込まれた主人公の「最後の戦い」が待ち受けるわけですね。
ここがもう超絶に興奮した!
主人公もとはいえ「腐食した街で叩き上がってきた凄腕刑事」です。腕も頭も一流なわけですから。
ニューヨーク市長や警視庁、FBIやらマフィアなんかを巻き込んだ大バイオレンス・ショーが幕を開けるのです。
今まで自分を裏切ってきたもの、また自分を裏切らせた組織に、次々と復讐していくわけですね。
これですよ。これぞバイオレンス小説の醍醐味ですよ。
心臓を炙るような復讐劇に、ハラハラしちゃって下さい!
まとめ
ということで、「ザ・バイオレンスクライムノベル」!って感じの小説ですね。
馳星周さんの作品以来ですよ、ここまでエキサイティングなクライムノベルは。
久しぶりに「当たり!」に出会えましたので、ドン・ウィンズロウさんの作品は他にもいろいろ読み漁って行こうと思いますよ!
はい。ただのファンです。もう洗脳済みです。 ←
おヒマつぶしに、ぜひ。