
日本に生まれて良かったよ。
ザ・カルテル
麻薬王アダン・バレーラが脱獄した。30年にわたる血と暴力の果てにもぎとった静寂も束の間、身を潜めるDEA捜査官アート・ケラーの首には法外な賞金が賭けられた。玉座に返り咲いた麻薬王は、血なまぐさい抗争を続けるカルテルをまとめあげるべく動きはじめる。一方、アメリカもバレーラを徹底撲滅すべく精鋭部隊を送り込み、壮絶な闘いの幕が上がる―数奇な運命に導かれた2人の宿命の対決、再び。
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まさかの展開にハラハラしまくる1冊です。
最近ハマってる作家さん「ドン・ウィンズロウ」氏によるメキシコ麻薬戦争の物語ですね。
がっつり読みふけってしまいましたよ!仕事もせんと!
ということで、思いっきりアングラな世界が楽しめる作品となっております。
いやもうこれは全編通して「さすがだな~!」の一言に尽きますね。天才!ドン・ウィンズロウ!
さくっとレビューします!
現場にいるような緊張感がエグイ
もうね、まず「実際に起こった事件」にインスピレーションを受けて書いてるもんだから描写がむっちゃくちゃリアルなんですよ。
「えっ…メキシコってこんなんなの?( ´゚д゚`)」とドン引きするレベルです。
麻薬組織の壊滅を狙う麻薬捜査官も、縄張り抗争を繰り返す麻薬組織も、またそのカルテルたちとズブズブの政治家や汚職警察官も、そして一般人でさえも。
いつ誰がどんな理由で殺されるかわかったもんじゃないので、ここメキシコには「安息の場所」なんてものは存在しないのです!
最初から最後まで常に「死と隣り合わせ」という状況なので、最初から最後まで落ち着く間もございません。
いつ殺されるのかとヒヤヒヤしながら読める、なんともスリリングな作品ですね。
ちょっと前に「メキシコ麻薬戦争」なるルポルタージュを読んだ時も思いましたが、日本に生まれて良かったな!(´∀`*)って感じですよほんとに。 ←
まさかの展開
メインの話としては「麻薬王アダン・バレーラ」とDEA捜査官「アート・ケラー」による攻防戦ですが、もちろん!
メキシコには他の麻薬組織もあるし、取締局の中にも「ネズミ」がいたりするのです。
「メキシコ麻薬戦争」ですから。この要素も必須ですよね。
組織間の裏切りが飛び交いまくったり、また逆に他組織や個人でも同盟を組んでみたりと、いつ、誰が、どのタイミングで!?って事態が起こりまくります。
やっぱり、この要素がすげえハラハラしますね。
この「どうなるんだこれ…( ´゚д゚`)」感。
ギャングだろうが捜査官だろうがお構いなし。
もはや誰も信用できない状況がさらなる緊張感を生み出しております。
ちょっとした麻薬戦争の裏話
個人的には、ここがなにげにスパイスでした。
麻薬戦争の裏側じゃないけども、「ギャングにもそんな悩みがあったんだ」って発見。
こーゆー人間味みたいなのが見えたりすると、泣く子も黙る恐怖のギャング集団がかわいく見えたりするから不思議。笑
そりゃまあね、いくら「麻薬で財を築き、殺人でさえも厭わない集団」とは言え、一人の人間ですから。
家族もいれば仲間もいるし、良心だってあれば「自分の人生」について思うことなんかもあるのです。
ここがね~、私としては作品の良い隠し味になってるんじゃないかと。
緊張感のあるストーリーの中で垣間見える「意外な人間性」なんかは、読んでてちょっとホッとしますね。
まとめ
ということで、アングラなバイオレンスものが好きな人にはたまらない作品となっております。
それこそ「ゴッドファーザー」とか、「スカーフェイス」とか、その類のものが好きな人ですね。
ただ、めっちゃ疲れます。
登場人物は多いし、人は拷問されまくって殺されまくるし、メキシコやアメリカを中心とした「世界情勢」なんかも絡んでくるので、頭が知恵熱で破裂しそうです。
ちょいちょい「え?どーゆーこと?」ってところが出てきたので、そこはグーグル先生に教えていただきながら物語を楽しんでおりました。 ←
本当に、こーゆー作品は読むのが難しいですよね。
物語自体が非常に長いし情報量も多いので一気読みは疲れるし、かと言って時間を空けると熱も冷めちゃうしで。
「自分のちょうどいいタイミング」で読み進めて行くのがいいですが、それを見極めるのが難しかったり。
それでも、やっぱり物語は終始緊張感があって面白いし、読み終わってからも「良い物語だな~」と思えるので、読み応えは充分にありますね。
愛と、金と、血と、暴力に彩られた「ザ・クライムノベル!」な1冊でした。
おヒマつぶしに、ぜひ。