
やっぱりおもしろいドン・ウィンズロウ作品!
ザ・ボーダー
グアテマラの殺戮から1年。メキシコの麻薬王アダン・バレーラの死は、麻薬戦争に終結をもたらすどころか、新たな混沌と破壊を解き放っただけだった。後継者を指名する遺言が火種となり、カルテルの玉座をかけた血で血を洗う抗争が勃発したのだ。一方、ヘロイン流入が止まらぬアメリカでは、DEA局長に就任したアート・ケラーがニューヨーク市警麻薬捜査課とある極秘作戦に着手していた―。21世紀のクライムノベルの金字塔『犬の力』『ザ・カルテル』のシリーズ第3弾、完結!
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ドン・ウィンズロウ氏の人気シリーズ「アメリカvsメキシコ麻薬戦争もの」ですね。
今回がなんと完結編だそうで。
やはり、最終章にふさわしい、内容たっぷりの壮絶なストーリーでございました。
見どころをさくっとレビューします!
「王」がいなくなった世界で
前作「ザ・カルテル」で、長年シナロア・カルテルの支配者であったアダン・バレーラの息の根を止めた、アラン・ケラー。
これでようやくメキシコとアメリカの麻薬戦争も終結し、平和が訪れる…
はずだった!( ´゚д゚`)ベタやな
まあ、そりゃそうですよね。
ケシ・アヘン畑や麻薬工場、それらを売りさばく麻薬組織は他にも存在してますし、アダン・バレーラの親族の方々もいらっしゃいますし、ドラッグマネーのおかげで発展してる分野や企業もあれば、政府や警察なんか汚職に塗れてますし。
ドラッグマネーは、もはや社会とは切っても切れない根深いものになっているのです!
ということは、ただ「王の座が空いた」って状況になっただけなんですね。
さあ、血で血を洗う抗争の始まりです!(´∀`*)ヤベーナオイ!
タピア勢、セータ隊、エスパルサ一派やヌニェス一派などの「アダン一派」やアメリカンギャング、そして麻薬戦争を終わらせようと命を懸けて戦うアラン・ケラー率いる麻薬取締局と、それを阻止する汚職政治家や警察たちなどなど。
あらゆる派閥抗争がおもしろい1冊となっております。
囮捜査や仲間内の裏切り、思惑や策略なんかはもう相変わらず見ててハラハラしますね~!
バレたら恐ろしいマフィア式の拷問や死刑が待ち受けてるわけですから。
他にはない緊張感が味わえます。
ストーリー展開が神
ドン・ウィンズロウ氏の作品にドはまりする要素は、まさにこれかなと。
「えー!どうなるのこれ!( ´゚д゚`)」が炸裂しまくるストーリー展開がもう神がかってるんですよ。
物語の作り方が本当に上手いなと。
引き寄せ方が上手い上に、引き離し方も上手いと言いますか。
いきなり主要人物が消されたり、まさかの行動を取ったりとまったく予想の付かない展開が繰り広げられるのです!
ここら辺が非常にスリル満点で、もう心臓がもたない。 ←
ロングスパンで楽しめる人向け
個人的になんですが、今作はあまり「一気読み」しない方がいいかなと。
なぜなら、疲れるからです!(´∀`*)
そんな劇的なストーリー展開の上、登場人物が多いので情報量がハンパじゃないんですよ。
一気読みしようとすると知恵熱で倒れます。知らねーけど
なんせ、上下巻合わせて1500ページくらいありますから。
なので、今作はじっくり楽しめる人向けかなと思いますね。
ちなみに私は「毎日放映されてる一時間ドラマ」みたいなノリで読んでました。
それぐらいの距離感で楽しむのがちょうどいいかもしれないですね。
まとめ
やっぱりおもしろいぜ!ドン・ウィンズロウ!
ということで、今作も間違いない作品となっております。
やっぱり今作も実社会が舞台だからか、感情移入率が異常でしたね~。
マフィアにしろ警察にしろ一般市民にしろ、みんなそれぞれの思惑や思想がありますから。
麻薬戦争の問題は一筋縄ではいかないものがあるのです。
そーいった「社会問題」に切り込んだ感がありますよね。
もちろん、前作を読んでなくても楽しめるとは思いますが、情報整理なんかには時間がかかったりするかも知れないですね。
私は第一作の「犬の力」は読んでませんが、「ザ・カルテル」はおもしろかったですから。
さて、お次は「犬の力」を読もうかな!(´∀`*)
ハラハラドキドキのクライムノベルでした。
おヒマつぶしに、ぜひ。