
風流ですなあ。遠い目
茶聖
真の芸術家か、戦国最大のフィクサーか―。「茶の湯」という一大文化を完成させ、天下人・豊臣秀吉の側近くに仕えた千利休。その謎めいた心根と切腹の真相に迫る歴史大河ロマン。
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いや~!おもしろいですね!(´∀`*)
相変わらず戦国時代な小説を読み漁ってますが、今作も抜群に良作でした。
戦乱に生きた「美的感覚」の元祖、千利休の物語でございます。
さくっと見どころをレビューします!
なんともエレガント
茶室、茶器、景色、風情、光陰、濃茶と薄茶、そして、侘び寂びの美学。
これらが多くピックアップされているのでもちろん、物語全体に上品さが漂っております。
若い時はゴチャゴチャして無茶苦茶な作品が刺激的でおもしろかったのですが、歳を重ねるとくどくなってしまうので。笑
最近はこんな感じの洗練された上品な物語がフィットしてきますね!(´∀`*)おじさんだな!
ということで、「千利休」って人物をみなさんも小学生あたりに習ったと思うので、とりあえずそのままのイメージで突っ込みますね。
誰がお茶っ葉太郎やねん!( ´゚д゚`)←言いたかっただけ
千利休はただ「お茶を飲んでた人」「お茶を広めた人」ってだけではないんですよ。
金銀財宝豪華絢爛でゴージャスな物が「美しい」とされてた時代に、「質素で奥ゆかしい美しさ」を見出した人なのです。
いわゆる「侘び寂び」ですね。
この「質素で奥ゆかしい」というのもよく解らないと思うので、一言で言い現わすと…
「エモい」です。
なんか言葉で表現できないけど、良いんだよね~!って言う、アレですね。
千利休はそこの感覚を再現し価値を見出した、まさに「エモい」の元祖な人なんですよ。
ギラギラと光り輝いているもので着飾った贅沢より、シックで落ち着いている空間でお茶の味を楽しむ。
これ、エモくね?(´∀`*)ってことですね。
その「エモい」を武器に戦国の時代を生き抜いていくわけですが、これまたドラマティックでスリルのある物語に仕上がってるのが本書「茶聖」なんですね~。
千利休自体は戦場で戦うことはないですが、彼は「畳二畳の茶室」でまさに文字通り命がけの戦いを繰り広げていたのです。
影で操る実力者
中二病真っ只中の私にぴったり。 ←
千利休が暗躍した歴史に起きていた「影の部分」が、本書のおもしろいところです。
「影で操る」って言葉に惹かれた?あなた中二病ですねえ!( ´∀`)人(´∀` )ナカーマ
戦国時代はただただ人々が殺し合うだけではなく、戦略というのも1つの戦いなわけですよ。
本書はその「戦略」がメインのお話なのです。
「大物の大名」なんかを畳二畳の茶室を使って裏で操り時代を動かすなんてもう、たまらないですね!
これがね~、武器を振り回して「勝負じゃ!」的な戦いとはまたちょっと違う、命がけのハラハラ感があっておもしろいんですよ。
大名の機嫌を損ねれば、その場で即「切腹」なわけですから。
こーゆー歴戦の数々を見てると、やはり千利休の「商談の上手さ」がよく解りますね~!
歴史に名前を遺すだけありますよ。
乱世に生きた「美学」
そして、「茶聖」の大きなポイントの1つはこれですね。
「美とはなにか?」を学べるところです。
人それぞれ「センス」はありますが、やっぱり時代的に燦爛としたきらびやかなものが「美しい」とされてきたわけですよ。
そこには当然、「え?美しいかそれ?( ´゚д゚`)」と疑問に思う人もいるわけで。
そこで「いや、そんなん派手なだけで美しくはないっすよ」なんて大名に言おうもんならその場でアディオスな時代ですから。 ←
そんな「美的感覚」を根本から覆すのは、本作に出て来るこの一言に尽きますね。
胸内にわき立つ作意を現のものにするのが侘だ
つまり、他人がなんて言おうと、自分の中にわき立つ「エモさ」が「美しさ」なんだよ!ってことですね。
これがね~、私の中では結構な衝撃で。
どうしても日本人は、周りの人に合わせてしまうところや、権力者に面と向かって言えない風習がありますから。
もちろん、美的センスは十人十色、ひとそれぞれ違うのですが、これを本質的に解ってる人ってなかなかいないんですよね~。
そこらへんの、「本当に美しいものとは?」というところを考えさせられたのも、大きなポイントでした。
まとめ
エレガントでスリルある物語です。
私と同じ年代の人には、がっちりハマるんじゃないかな~と思いますね。
特に、ビジネスが生き甲斐だったり苦労してきた人におすすめです。
逆に言えば、私が若い頃だったら見向きもしない作品ですね。言い方
お茶のお供に、上品な時間をお過ごし下さい。 ←
おヒマつぶしに、ぜひ。