
全員、悪人。(パクリ
ダーク・ムーン
一九九七年、カナダ西海岸・ヴァンクーヴァー。中国への返還目前の香港から押し寄せる移民たち。そして黒社会。おりしも頻発するヘロイン強奪事件に華人マフィア同士の緊張が高まり、街には不穏な空気が流れていた。そのさなか香港黒社会の大ボスの愛娘・李少芳が行方をくらませた。探索を命じられた男・富永脩は一人、ヴァンクーヴァーに降り立つ。欲望と憎しみの悲劇の幕は上がった―。
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悪い奴っちゃな~!( ´゚д゚`)
ということで、悪者小説(ピカレスク)と言えばこの人、馳星周さんですね!
馳さんの作品はほとんど読んできましたが、今作が一番刺激的かもしれない。
金に欲望にバイオレンス、さらに物語の裏側にある衝撃の真実と、最初から最後までエキサイティングな物語に仕上がっております。
これはむっちゃくちゃおもしろかった!
さくっと見どころをレビューします!
いつもの3倍
「ダーク・ムーン」が一番ヤバイのはこれ。悪者の主人公が3人も出て来るところ。
つまり、いつもの3倍ピカレスク。(安易な計算
- 広州にいる子供たちのために悪徳警官となった「ロン」
- 出世のためならなんでもする刑事「ハリィ」
- ドジを踏んでマフィアになった元警官「サム」
この3人の視点が切り替わりながら物語が進んでいくのですが、それぞれ別々の思惑と欲望と衝撃の過去がえげつないほど強烈で目が離せないのです。
そもそも馳星周ピカレスクは「悪者」が複数出て来るのですが、今作「ダーク・ムーン」はそれぞれのスポットライトの当て方がなかなか強めなイメージですね~。
3人ともかなりキャラも濃いので、もうてんやわんやです。(
緻密に作られた物語
この作品は説明が結構難しいです。
なぜなら、物語と設定がかなり入り組んでて精巧に作られているからです。
これがね~、馳星周作品でも1、2を争うほどの精密さなんですよ。
一から十まで説明してたら私の頭がパンクしてしまうので、ネタバレが見たい人は他のサイトを探してみてください。←
なにもそんな難しい話が出て来るわけではないのですが、物語がなかなかに壮大で壮絶なのです。
結局は登場人物それぞれ「殺してやる」という目的に辿り着くわけですが()、そこにいたるまでのそれぞれの話がむちゃくちゃおもしろいんですよ。
うまくハマれば「続きが気になる展開」の連続を味わうことができる、そんな作品ですね。
圧倒的な暴力描写
そして、馳星周さんと言えばやっぱりこれ。
圧倒的な暴力描写。
これがなんとも刺激的。
結構残酷です。うへへ。(サイコパス
この圧倒的な暴力描写が、物語の良いスパイスになってるのは間違いないですね。
強烈なイメージを沸かせて、強烈に読者の記憶に残す。
これも1つのテクニックなんでしょうねえ。きっと。
文体が小気味いい
そしてなによりこれ。
文体がリズミカルでテンポがいい。
馳星周さんは結構、淡々とイメージを投げかけて来るという文章を書くんですよね。
これがむちゃくちゃ快感で小気味いいんですよ。
なので、これだけスピード感のあるスリルを生み出すことができるんですよね。
長々と文章が続くと疲れちゃう!という私のようなめんどくさがりにはおすすめ。笑
馳さんはポンポンとイメージだけを投げかけてくれるので、頭に映像が浮かびやすいのです。
そして衝撃の後半戦!!
後半の展開なんてもう大興奮。
衝撃の事実が明かされるわ、あちこちでそれぞれが命を狙われまくるわでもう大乱闘スマッシュブラザーズです。違うけど
本当はね~、それぞれ悪事を働いていたとは言え「1つの幸せ」のために生きていたんですけどねえ。
それがここまで歯車が狂ってしまうのか!?( ´゚д゚`)という奈落の底へ落ちて行くスピード感がえげつない。
馳星周作品は終わり方が結構淡泊なものが多いのですが、なんか今回はいつもと違った感じでしたね~。
終わり方にも少しこだわった。そんな意図が見受けられたラストでした。
相変わらずほっこりはしねーけど。(
まとめ
- 黒社会
- 命がけのスリル
- 黒幕は誰だ!?
がお好きな方には超絶におすすめです。
いかんせん、物語の説明が難しいのでいちいち書いてられませんが()、これを読んだ人と話をしてみたい!という気持ちはありますねえ。
「ほんと良く出来てるよな!(´∀`*)」と共感したい。そんな作品ですね。
普通の物語に飽き飽きしてしまった人におすすめの、刺激的なピカレスクです。
一気読み必至。おヒマつぶしに、ぜひ。