
想像以上。
月のない夜に
結婚して東京で暮らす月光(つきみ)のもとに急な連絡が入った。
故郷の京都で暮らす双子の妹・冬花が殺人の容疑で逮捕されたという。
被害者は、冬花の高校時代の同級生・川井喜代。
二十年前、冬花を自分の思うままに支配し、不幸にした喜代が許せず、二人を引き離したはずだったのに、なぜ……。
京都に戻った月光は、冬花に思いを寄せる男・杉田とともに真相解明を解明しようとするが、新たな殺人が起きる。by Amazon
さすがです。岸田先生。
ということで、2015年に出版された作品「月のない夜に」の文庫版ですね。
私もまだ読んでなかったので買ってみましたが、安定の一気読みでございました。
物語としては、殺人事件の裏側にはなにがあったのか!?的なものですが、これまた引き込むのが上手い仕上がりになっております。
さくっと見どころをレビューします!
川井喜代の極悪っぷり
一番メインの見どころはこれでしょうね。
人の心の隙間に入り込む、「川井喜代の徹底した悪女っぷり」です。
仲の良かった友達同士を引き裂いたり、御曹司を手玉に取るなんてお手の物。
金のために殺人をもいとわない徹底ぶりでございます。
しかもその殺人、策力のみで自分はまったく手を汚しません。最高。←
この手の殺人ミステリーには登場しがちなキャラクターではありますが、悪女っぷりで言うなら今まで読んできた中でもNo,1かもしれない。
つい「悪い女やな~( ´゚д゚`)」と独り言がもれましたよ。
本書は、この「極悪っぷり」がストーリーのいいスパイスになってるんですよね~。
こーゆー悪女って、噂で聞いたり第三者視点で見るとなぜかむちゃくちゃおもしろいじゃないですか。
絶対に関わりたくはないけど。(30代独身男性談)
謎の脅迫者
そして、これですよ。
すべてを意のままに操っていたはずの川井喜代を脅す、謎の人物の存在。
この「謎の脅迫者」が現れ始めてくるところから、ミステリーは一気に加速していきます。
またこれが絶妙なタイミングで現れるから上手いですよねえ。笑
私もミステリーは「こいつが犯人っぽいな~」みたいな目線で読むのですが、この作品はものの見事に全員が怪しいから読み応えがあるんですよね~。
どいつだ!?どいつが脅迫者だ!?みたいなね。
これも一気読みを促進させる、いい要素でございました。
そして、川井喜代のたくらみの1つ上を行く脅迫者は、意外なあの人物なのです。
大どんでん返し!
やっぱり、ミステリーと言えばこれですよ。
最後に待ち受ける、大どんでん返し!
…と派手に言ってますが、今回の作品は意外と「ストン」って落ちる感じでしたね。
確かに犯人は意外な人物ではありましたが、なんとなく納得の範囲でした。笑
しかし、あっさりと自分の予想のナナメ上を行かれたので、これまた新しい種類の余韻に浸ることができましたね~。
これが、他の作品で味わったことがないので結構新鮮でした。
「あぁ…( ´゚д゚`)」って感じ。語彙力
まとめ
相変わらず「人間模様」や「情」を書かせたら素晴らしいですね!
岸田るり子先生は本当に、この手の物語を書かせたら天才的でございます。
ズブズブと沈んでいく、人間の業をお楽しみ下さい。(言い方
一気読み安定。おヒマつぶしに、ぜひ。