
「ゆきのきざはし」と読みます。
雪の階
昭和十年。華族の娘、笹宮惟佐子は、富士の樹海で陸軍士官とともに遺体となって発見された親友・寿子の心中事件に疑問を抱き、調べ始める。富士で亡くなったはずの寿子が、なぜ仙台消印の葉書を送ることができたのか。寿子の足どりを追う惟佐子と探偵役の幼馴染、千代子の前に新たな死が…。二・二六事件前夜を舞台に描くミステリーロマン。
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いや~、なんとも日本語の美しいミステリーでございました!
思わず読みふけってしまいましたよ!
さくっと見どころをレビューします!
集中力の訓練に
「なんで集中力の訓練やねん( ´゚д゚`)」って思うじゃん?
なぜなら、物語があんまり進んで行かないからです!笑
情景の描写や登場人物の心情、歴史的背景やミステリー要素…
どれをとってもものすごく丁寧で繊細な日本語を駆使して描かれております。
つまり、物語の進行自体にかなりの装飾が施されているということですね。
なので、言葉の装飾に気を取られて、ストーリーや人物が飛んでしまうこともしばしば。
まあまあな集中力を必要とするんですよね。
「さっさとストーリーを楽しみたい!」って人にはまったく向いてません。
「じっくりと美しい日本語に酔いしれながら楽しみたい!」人向けです。
しかし、ミステリー自体もしっかりしてるし、むしろ読んでいくと深みのあるおもしろい物語なので、集中力の訓練にちょうどいい!と言えるわけですね。
なんともエレガント
物語が昭和十年の華族が中心なので、読んでるだけでエレガントな気分になってきます。
ザ・上流家庭!って感じですね~!
あんまりジャンクな作品ばかり読んでると飽きてしまいますからねえ。
たまにはこんな、庶民から離れた視点の物語を読むと、いい刺激になります。
壮絶なミステリー
帯にもありますが、やっぱりこれですね。
がっつりハマれば、今まで読んだことのない壮絶なミステリーが待ち受けております。
これまた、物語もまったく予想のつかない展開をしていく上にミステリーの質も高いので、むちゃくちゃ読み応えがありますね。
1章の終わりから、ずんずんと話にのめり込んでいく感じです。
が、
最初に書いた通り、言葉の装飾が多いため物語が進んで行ってる感じがしないので、1章の途中で読むのをやめる人が続出すると思われ。←
まとめ
じっくり時間をかけれる人向けのミステリーです。
さくっと楽しめるような作品ではないですね。
ただ、「あ、今集中力が途切れたな」と自覚しながら軌道修正するという、集中力の王道トレーニングができるところが推しポイントだな!って感じです。
話自体はなかなかに壮絶で、妖艶で、闇の深い、鮮やかなミステリーでございました。
おもしろかったです。おヒマつぶしに、ぜひ。