
どっちやねんってゆーね。
聖者が街にやって来た
タワーマンションが建ち、人口が急増する街で古くから続く花屋を営む桜子。十七歳の娘が市民結束のために企画されたミュージカルの演者に選ばれた。新旧の住民が入り交じって盛り上がる街。
だが若い女性が続けて殺される事件が起きる。不穏な空気のなか、今度は娘が何者かに誘拐されて……。あまりにも切ないラストに、慟哭必至の傑作長編小説!
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宇佐美まことさんの作品を読み漁ろうキャンペーン、第7弾はこちら「聖者が街にやって来た」です。
ちょうど文庫版がリリースしてたので、買ってみましたよ!
さくっと見どころをレビューします!
ハートフルで残酷なミステリー
読み終えてみて、やっぱりこの印象。
宇佐美まことさんの作品を読むのは7作目ですが、他の6作と比べるとハートフルで残酷なミステリーだったな~と。
まあ、単純に「人間模様」が意外とハートフルで、殺人事件が残酷だったってだけなんですけども。笑
今まで読んできた作品は、濃厚な人間ドラマでもどこか冷たい印象の描写が多かったのですが、今作はわりかし暖かめ。
なんなら殺人事件自体も、方法は残酷にしろ、動機や裏側もどこか温かみを感じる不思議な作品でしたね~。
しかし、この暖かみのある人間ドラマの印象が強くて、トリックや大どんでん返しのインパクトはちょい薄め。
なので、ちょいミステリーありのドラマが楽しみたい!って人向けですかね。
私は好きですけどね。こーゆーのも。
ご近所物語
なんて言っていいのかわからないけど、とりあえず見出しを付けてみましたみたいな。
地域密着と言うかご近所さんというか、こーゆーの良いっすねえ!(´∀`*)
とある花屋さんを中心に、花屋の家族や店員、幼馴染の刑事や問題を抱えた家族、ゲイバーのスタッフ、その他色々。
この人たちを描いた日常みたいなものが本当に暖ったけえなあ!って感じなんですよね。
先ほどの「ハートフル」に繋がって来ますが、近所で起きる連続殺人にみんなで振り回される中でも懸命に生きている。
そんな支え合ってる感じが、じんわりと心に沁みるんですよねえ。
うーん。なんて言っていいのかわからないけど、伝わるといいなあ。(投げっぱなし
ザ・現代
そして、これ。
ザ・現代な作品です。
特に、この作品に出て来る少年少女たちは、残酷であり暖かみありで、本当にリアリティがあって良いですね~。
菫子の悩みやひたむきさと言い、晃のサイコパスっぷりと言い()、「ザ・現代っ子」って感じです。
なので、今の若い子たちは共感できるんじゃないかな~。
逆に、お歳を召した方々は勉強になるかもしれない。←
本当に「現代の人間劇場」を俯瞰的に見れるのが良い作品でもあるかなと。
まとめ
刺激が薄めで楽しみやすいミステリーです。
もうなんか慣れてきたのか、この程度じゃあんまり驚かなくなった。笑
しかし、宇佐美まことさんの描く絶妙な人間ドラマはド健在です。
今作も楽しませていただきました!
結構な長篇ですが、展開もおもしろいし文章も読みやすいのでおすすめですね。
おヒマつぶしに、ぜひ。