
笑。
やつらを高く吊せ
後ろ暗いスキャンダルの匂いに激しく欲情する情報屋の「おれ」は、今日も強烈な快感を求めて愛車ポルシェをぶっ飛ばす。
非情な金貸しに手綱を握られ、淫らな女子高生に翻弄されながらも、アンダーグラウンドを彷徨う「おれ」の覗き屋魂は、政財界の大物たちを虎視耽々と狙い続けるのだった。
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いや~、変態ですねえ!(´∀`*)
世の紳士諸君、お待たせしました。馳星周さんによるド変態でスピーディーなブラックノワールの登場です!
まあ、出版されたのはだいぶ前なんだけどねw
やっと読めたけどやっぱり鉄板でおもしろい!
さくっと見どころをレビューします!
このアングラ感
やっぱりこれですよ。
「え、これ大丈夫なん?」と心配になるほどの暗黒小説です。
なんとも刺激的!
言っておきますが、登場人物たちがやってることはご多分に漏れず、ド犯罪です。
だからこそ、このアングラ感がたまらないんですよね~!
平気でコカインかますわ、常時スピード違反だわ、人は弱み握って脅すわ、未成年に手を出すわ。
ぬるま湯に浸かった日常を真っ黒に染める、横暴の数々でございます。
しかも、ただただ犯罪行為を描写するだけではなく、緻密に計算された選りすぐりの言葉をぶつ切りにして投げかけて来るんですよ。
だから、下品なイメージを感じる暇もないスピード感が生まれるんですね。
これがやっぱり、馳ノワールの真骨頂ですよ。本当に。
本作も絶好調でございました。
微コメディっぷりが最高
そして、これですね。
馳星周さんのコメディノワールと言えば「アンタッチャブル」
あれはモロに「笑わせまっせ!」ですが、こちらは笑わせようとしてるのかどうかがグレーゾーンな微コメディって感じです。
まず、主人公が本当にどこまでもツイてないんですよ。笑
やることなすこと全てが裏目に出てしまうという、なんとも言えない悪運っぷり。
金貸しヤクザや右翼に狙われて「いや、君このままだと死ぬよ?」ってな状況で、その悪運っぷりが発揮されるもんだからもう。
スリル満点ですよね。
しかもそのツイてない原因の大半が、性に目覚めてしまった色情狂の女子高生ってゆーね。
笑ろてまうわ。
あくまで、笑わせようとしてるのかどうかは不明です。
それでもクスッときてしまう、微コメディ風なストーリー展開は読んでて楽しかったですね。
意外なラスト
これは、馳星周作品を他にも読んだことある人にしかわからないですが。
馳ノワールにしては珍しいラストの迎え方をします。
どちらかと言うと、馳さんの作品は大半がザ・バッドエンドなんですよね。
でも本作は、「これバッドエンドか…?」って終わり方をするんですよ。
私は結構「いい意味で期待を裏切ってくれる作品」が好きなんですが、まさに「え?そんな裏切り方あるの?」って感じでしたね~。
これがおもしろくて。
正直、この見どころは馳星周ファンにしかわからないところではありますね。笑
内容はバチバチにアングラだけど、終わり方が気持ちいいので、全体で見ればそこまでブラックではないかな…?って印象を残してくれる珍しい作品です。
なので、ノワールデビューの人には持って来いな作品でもあるかなと。
まとめ
ド変態な世界観でお贈りする一人の男の逃走劇です。
いや、闘争劇か。(紛らわしいな
相変わらずスリル満点でエロくて刺激たっぷりで最高の作品でございました。
おもしろかったです。おヒマつぶしに、ぜひ。