
エレガント!
楽園のカンヴァス
ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに籠めた想いとは――。
-あらすじより
“かれこれ十六年ものあいだ、重く固く閉じられていた「パンドラの箱」。
その蓋が、いま、開けられたのだ”このフリ最高。
— 高橋幸太 (@ICehkceyBbmZHoI) August 1, 2021
美術館展覧会の裏側がおもしろいな
— 高橋幸太 (@ICehkceyBbmZHoI) August 1, 2021
物語の持っていき方が本当に上手い
これは白熱する
— 高橋幸太 (@ICehkceyBbmZHoI) August 1, 2021
当時の画家たちの生活やフランスの街並みが浮かんでくる
— 高橋幸太 (@ICehkceyBbmZHoI) August 1, 2021
上品な気持ちになってくる物語
— 高橋幸太 (@ICehkceyBbmZHoI) August 1, 2021
これはむちゃくちゃ贅沢なミステリーだ!w
— 高橋幸太 (@ICehkceyBbmZHoI) August 1, 2021
この、息を呑む緊張感
— 高橋幸太 (@ICehkceyBbmZHoI) August 1, 2021
素晴らしい!
ラストは心地良い鳥肌が立ちました!19〜20世紀の画家たちと、現代の美術関係者が織り成したなんともエレガントな物語です
— 高橋幸太 (@ICehkceyBbmZHoI) August 2, 2021
大人のミステリーです。
別にえっちなわけじゃないぞ!(´∀`*)残念だったな!
私自身、アートにはこれっぽっちも興味がなかったのだが、ひょんなことから美術館巡りが趣味になった。
「ひょんなこと」とはズバリ、「大人になりたかった」だ。
なんとなく、私の中では絵画の世界は上品で煌びやかな「大人の世界」だった。
今でも時間が空けば各地の展覧会を見て周っているのだが、やはり美術品のおもしろさは「ミステリー」にあると思う。
彼らはどんな思いで、どんな状況で、どんな景色を見ながら、その作品を創ったのか。
そもそも、その作品は本当に彼らが作ったのか。
跋扈する贋作、謎めいたメッセージ性、なぜ、その作品を創り、その作品にそのアクセントを隠したのか。
それはもちろん、本人にしかわからない。
作者がいない今、それは解かれることのない永遠のミステリーなのだ。
そして、もう1つの魅力的なミステリーがこれ。
現代に至るまでに、その作品にはなにか語られるべき「物語」があったのか?
この作品「楽園のカンヴァス」は、アンリ・ルソーの描いた作品「夢」が本物か偽物かを見極める対決がメインの物語だが、ここにアート界のミステリーが加わる。
「夢」の下には、パブロ・ピカソの失われた作品「ピカソ・ブルー」が描かれているのではないか?
気になって調べてみたがそんな事実はないみたいだが、なんともおもしろい仕掛けである。
ピカソブルーを見るためには、ルソーの絵を削るしかないという、文字通りの究極の選択。
もちろん、そこも「想像」でしかないのだが、ここまで壮大で美しいミステリーは見たことがない。
ティム・ブラウンと早川織絵の対決もさることながら、ルソーやピカソが生きていた時代までもが浮かんできて、当時のサロンの様子までイメージ出来てしまうのも見どころ。
文学でありながら、超視覚的!
美術界や経済界の資本主義的な思惑、キュレーターや研究者が持つアートへの愛、それぞれの秘めた物語。
これらが上手く混ざり合った極上のミステリーだなと。
誰も殺されないミステリーも、たまには良いもんですね。←
「想像」というのは、いつの時代も私たちを楽しませてくれるエンターテイメントなんだなとつくづく感じた作品です。
いつか、タイムマシンが開発され、過去のアーティストたちを覗き、現代に残るアートの全貌が明らかになる日も来るだろう。
でも、すべての謎を解き明かしたい気持ちももちろんあるのだが、少しだけ、「そのまま」にしておきたいという気持ちもある。
全貌が明らかになってしまったら、「想像」で生み出した物語が楽しめなくなってしまいそうだからだ。
歴史のミステリーは、無限に想像と物語を生み出せる源泉なのかもしれない。
ついついそんな大人なことを考えてしまう、極上の1冊でした。(
おもしろかったです。おヒマつぶしに、ぜひ。