
やヴぁい。
殺さずに済ませたい
僕は人形を作り続ける。42号と名付けられたこの人形の頭部にはまだ髪がない。唇にも紅は塗られていない。しかし柔らかな筆で丹念になぞっていくと、少しずつその頬は赤みを帯びていく。まるで、死体に命を与えているかのようだ。42号が完成すれば、僕の思い通りに事が運べば……、僕はもう、人を殺さなくて済むかもしれない……。美麗なビスクドールを造る天才人形作家、椿涼。その裏の顔は忌まわしい連続快楽殺人鬼であった。
-あらすじより
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人形を作るきっかけですか?
そうですね、人形に「作ってくれ」と言われたからです。
なんて答えちゃうサイコパスのお話。←
大石圭さんの作品は本当に、色とりどりのサイコパスが出てきて面白いのですが、これまた新しいタイプのサイコパスを目の当たりにした気分ですね。
なんと、生身の女性には一切発情しないのに、自分の作った人形にそっくりな女性の死体に発情するという、とんでもない殺人鬼なのです。
もはや「変態」とかのレベル超えております。
また文体もさすがの一言で、まるで犯人の手記を読んでるような生々しさ。
「本当は殺したくないのに、欲情して殺してしまう」という主人公の特殊な心理描写にグイグイと引き込まれてしまいます。
しかもその上、しっかりと続きが気になる展開までも用意されてるからたまらない!
ラストもこれまたなんとも言えない気持ちになるのがニクイんですよね~!w
大石圭さんの作品の中では結構コアではありますが、本作も胸を張っておすすめできる1冊。
暗くも美しい作品に仕上がっております。
最近、推しの作家さんでございます。笑
おヒマつぶしに、ぜひ。